沢木耕太郎「キャパの十字架」買わずにいられようか
も・く・じ
沢木耕太郎という作家をご存知でしょうか。
おそらく若い人は知らないでしょうね。
いわゆるノンフィクションの分野では著名な人で、私の尊敬する作家の一人でもあります。
その沢木さんの新刊本が書店に平積みになっていたのでちゅうちょすることなく本を手に取りレジに向かっていました。
今度の題材はあの「ロバートキャパ」です。
私の感性にぴったりの作家さん
私はここ数年、まともに読書をしたことがありません。
読むものと言えばパソコンに関する雑誌か書籍ばかり。
それでも20代・30代の頃は人並みに小説や漫画を読みあさっていた時期もあったんですよ。
特に好きだったのがノンフィクション。
当時テレビマンになろうと思ったきっかけもノンフィクションの影響が大きかったんです。
ドキュメンタリー番組で名をはせてやる!なんて息巻いてもいましたし。
そしてノンフィクション本が好きになるきっかけにもなった書籍が沢木耕太郎さんの「テロルの決算」でした。
「テロルの決算」は、17歳の右翼のテロリスト・山口二矢が当時の社会党委員長・浅沼稲次郎氏を壇上で刺殺したことについてのノンフィクションです。
(大宅壮一ノンフィクション賞受賞作)
なんというか、人間の本質によくぞここまで入り込んで取材したなというのが今でも覚えている率直な感想です。
それ以降、沢木氏の本には特に注目するようになりました。
カシアスクレイになれなかったボクサーの話や栄光の背番号3の陰に隠れて消えていった3塁手の話、競走馬イシノヒカル物語などスポーツの世界の悲喜こもごもを取り上げた「敗れざる者たち」。
孤独死した老女や元売春婦について調べあげた「人の砂漠」。
ほかにも「一瞬の夏」「馬車は走る」「バーボン・ストリート」などなど、ここでは挙げられないほどいろいろ読みふけったものです。
特に人物描写に関して”飾りがない”のが好きでした。
素のままの取材対象者が私の目の前に見えてきたものです。
極めつけは大型旅紀行の「深夜特急」。
これに感銘を受けてバックパッカーになって海外を放浪した人も多いと聞きます。
私もこれにモロに影響を受けて「西アフリカ単独旅行」を決行しましたもん。
(半年間の初海外・初完全独り旅)
その後もいくつか書籍を出してはいます。
でも私が忙しくなるにつれ次第に本とは距離を置くようになり、進んで沢木さんの本を探しにいくことは徐々に減っていったんです。
単行本を手にして1分で金を払っていた
ある日のことでした。
書店に入ったら入口にいきなり沢木さんの名前が飛び込んできたんです。
そのタイトルには大きな文字で「キャパの十字架」と。
中身を見なくてもあの「ロバート・キャパ」に関する著書だろうというのは察しがつきました。
ページをめくってみるとはたして…キャパの撮った「崩れ落ちる兵士」が実は「作られたものである」との推察で語られた内容のものでした。
ピューリッツァー賞を受賞したその写真は、スペイン内戦時、共和国兵士が反乱軍の凶弾に当たり今まさに崩れ落ちるという瞬間を”激写”したモノです。
その最高傑作が、実は”ニセモノ”ではないかという内容なのです。
これまでもロバート・キャパに関してはいろんな噂がありました。
そう、決していい噂ではありません。
写真の真贋(※本物 or 偽物)論争もそうです。
古くから”本物”か”やらせ”かの論争があったと聞きます。
じゃあなにが興味を引くかっていえば、あの沢木耕太郎氏が「崩れ落ちる兵士」に真正面から挑んでいるということです。
もう読まないわけにはいかないでしょう。
すぐに手に取りレジに向かったのは言うまでもありません。
その中身は…まさに沢木節炸裂といった感じで、久しぶりに読み応えのある本に出会いましたね。
気になる方は、どうぞ本屋に直行してください。
やっぱり沢木さんの本は面白い。
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